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に微笑ような悲し
2017年08月15日
薄い胸に手を添わせ、凝った小さな乳首を指の腹で可愛がったことや、奥まった小さな薄茶色の絞りが、初めて自分以外の手で染まったこと。
ぎこちなく愛撫に応える正樹を、どれだけ愛おしいと思ったか……白々と夜が明けようとしていた。
二人は、フリッツの言う狭いドワーフ(小人)の風呂に騒ぎ皮秒激光ながら仲よく入ったのち、少なくなった時間を確かめるように抱き合っていた。
背後から恋人を抱きしめたフリッツは、肩口に顔を埋め、いくつものキスの雨を降らせた。
湯上りのしっとりとした肌を確かめるように、フリッツは背中にあちこちに唇を落とし、印をつけるように触って正樹を高めてゆく。
尖った乳首を指で弾かれ摘みあげられると、じんじんと背中をむずがゆいような快感が這い上ってゆく。こらえきれずに、正樹は思わず両手で口を覆った。
室温は下がっていたが、オイルはそれほど冷たくはなく、深い場所ににゆっくりと染み込み馴染んでゆく。抜き差しされる指が、入り口で蠢くたび正樹は小さく呻いた。
「毎日、わたしは正樹の事を考えます。どこにいても、何をしていても、頭の中が正樹でいっぱいになってゆきます」
「僕も……僕もそうだよ、フリッツ……。あなたが僕の待っ皮秒激光ていたマルスだったんだ……」
正樹もすべてをフリッツに捧げたかった。ちっぽけでみすぼらしい何自分を、丸ごと愛してくれる西洋人にあげたかった。
長い時間をかけてフリッツは正樹の身体に執着し、どこで手にきたものか潤滑剤の助けを借りて、やっと今、狭いそこに楔を打とうとしていた。
「あぁっ……でも、やっぱり……無理みたい……フリッツ……」
わりわりと音がして、そこに亀裂が入る気がする。
限界まで薄く伸びて、フリッツが侵入しようとするのに耐えていた正樹が、拒んで首を振る。未通の場所は、時間をかけて柔らかくなっていたが、フリッツのセクスを受け止めかねていた。
拒絶する正樹の唇をふさぎ、下肢を触って正樹が反応しているのを確かめた。
いつになく性急に正樹を求めるフリッツの姿に、正樹も精いっぱい応えようとしていた。夜が明けてしばらくすれば、フリッツは出会った時と同じように、大きなデイバッグを背負ってここを出てゆく。迫りくる別れの時がフリッツを焦らせ、正樹を常よりも大胆にしていた。
排泄にしか使用するはずのない場所で、愛を確かめ合う背徳感に、ぞくりと身もだえする……
「ごめんなさい、正樹……無理をさせてしまうとわかっています。でも、わたしは正樹と……」
「……ぅあぁーーっ!」
身体を進めるフリッツの背中に、正樹は悲鳴を上げて無我夢中でしがみついた。初めての快感が正樹の意識を何処かにさらってゆこうとする。
切れ切れの嗚咽のような正樹の高い喘ぎが、フリッツを煽り、上げられた白い足が何か別な生き物のようになまめかしく空を泳ぐ。
「正樹……正樹。可愛い正樹……愛しています」
「……ぁっ……ああっ……いいっ……」
やがて、口腔を蹂躙されながら硬直していた正樹が身震いすると、ふっと弛緩した。
生暖かい白い精が、腹にとろりとこぼれているのに気づ皮秒激光去斑いて、フリッツは満足げんだ。正樹が腕を伸ばして首に巻き付く。
「フリッツも達って……」
「正樹……」
正樹の力の抜けた両足を持ち上げると、フリッツもまた腰を打ち付け精を放った。
長い時間をかけて一つになった充足感と、これが最後だという胸を締め付けられるみがないまぜになったやるせない感情が二人を包む。
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よう口には里流な
2017年08月01日
「留年したら、学資ローンの返済が大変です。彩さんの仕事は、上手くいってるみたいですね。昨日、同僚の方がそう言ってました。」
里流は夕べと同じことを口にしたが、彩は気付いていない風だった。
「俺の仕事か?一人では何もできないよ。チームで当たって何とかなってる感じFoodWise BB用品だな。俺は一番の下っ端で、助けてもらってばかりなんだ。まだまだ戦力には程遠い。」
「そんな風に言うと、なんだか部活みたいですね。」
「そうだな。上司との関係は上下関係のきつい部活みたいなもんだ。負けてもいい試合が一つもないのが辛いところだな。おっと!」
受け損ねたボールが点々と転がるのを彩は追い、沢口は里流に目配せした。
「今夜、二人で飲みに行け。誘っておいて俺は急用で行けなくなることにするから、ちゃんと話しろよ。いいな?」
「話ならここでするからいいよ。それに……おれと彩さんはそんなんじゃないんだ。彩さんには織田朔良がいるから……もう、いいんだ。」
「……どうした?」
ぽんと、彩がボールを寄越した。渡されたボールをぎゅっと握りしめ、沢口は意を決した。
煮え切らない里流の代わりに、もう自分が言うしかないと思った。
「織田先輩。里流と話をしてやってください。何だかわからないけど、こいつ変なんです。」
「……変って?」
「ずっと先輩と会いたいって言ってたくせに、もういいとか訳の分からない事言いだすし。俺もこいつが、何考えているのかわからなくなって。」
「沢口!もう良いって言ってるだろ!後輩だからっていつまでも、追いかけら紙尿片邊隻好れるなんて、迷惑なんだよ。」
売り言葉に買い言葉となり、沢口も歯止めが利かなくなった。里流がどれほど彩を思っていたか、知っている沢口には納得がいかなかった。
「誰が言ったよ?迷惑だって?!先輩が直接お前に言ったのか?大学に行ったって、里流はずっと先輩の話ばかりしてたじゃないか。なのに、やっと会えたらもういいって、何だよ。里流の思いはそんな薄っぺらいものだったのかよ。」
「沢口……。」
「俺がどうこう言うべきじゃない、当人同士の問題だって分かるけど……何もしないで簡単に諦めんなよ。」
「なんで……沢口が泣くの……」二人の首に腕を回して、肩に顔を埋めた彩が言葉を絞り出した。
「ごめん。……沢口。俺が悪いんだ。里流が悪いんじゃない。里流を責めないでくれ。」
「え……?それって、どういう?」
里流が身じろいだのを感じたが、彩は話し続けた。
「今でも俺を慕ってくれていると知っていて、傷付けたんだ。里流がもういいと言ったのは、俺がぶちまけた本性を知っているからだ。」
「彩さん、その話はもう……」
「自分でも嫌になるほどガキだと思う。片親の里流が大学に行くのは、金銭的にも相当な苦労があると分かるのに、昨日俺は素直に喜んでやれなかった。それどころか大学に行ってると嬉しそうに話をする里流が妬ましくて、自分だけどうして夢をかなえられないんだって苛立った。俺の家庭の事情は、誰のせいでもないのにな。」
「先輩の夢って、なんだったんですか?」
沢口の前に立つ彩は、あの日の彩だった。少し照れくさそうに夢を口にした。
「教師だよ。運動能力の優れている子は、ほっといても伸びてゆくだろう?自信紙尿片邊隻好がなくて踏み出せない子供の、後押しが出来る先生になりたかったんだ。」
沢口は彩の話を聞いて、それで二人で走っていたのかと納得した。里流は常に懸命だったが、周囲が気の毒になるほど体力がなかった。
「勝手に傷ついて動けないのは俺の方だよ。里流には迷惑をかけた。こういうのを、弱みに付け込んだって言うんだろうな。俺は里流の純粋な気持ちまで踏みにじってしまったんだ。なぁ、沢の気持ちが分かるんだろう?里流には沢口みたいに、何もかもわかっていて大事にしてくれるやつの方が良いと思う。」
「そんなに全力で薦められても、俺、彼女いますもん。無理っすよ。」
「そうなのか?」
「いるでしょ、普通。……つか先輩、俺は里流の親友だと自分でも思ってますけど、こいつの傍にいるのが俺ってのはどうなんすかね。」
「こいつは一見弱そうに見えるけど、自分で歩けないやつじゃないっすよ。確かに、言いたいこともなかなか言えなくて、すぐにめそめそするし、初恋を何年も引きずるような女々しいやつだし、未だに死んだ父親とキャッチボールをするのが夢だなんて、ありえないことを平気で口にする馬鹿だけど。」
思わず里流は沢口の手を引っ張った。
「ちょっと。……いいところが何もない気がするんだけど。」
「おまけに早とちりだ。これから言ってやろうと思ったけど、やめた。どうせ、言ってないんだろう?自分で話せ。」